だつりょくまんのブログ

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【お金の話】法人税等 FP2級試験勉強 資格取得に向けて勉強中

 こんにちは、だつりょくまんです。前回は、個人住民税と個人事業税について、書いてきました。

datsuryokuman.hatenablog.com

 今回は、法人税等について、書いていきたいと思います。一緒に勉強を頑張っていきましょう。

法人税の基礎と税務調整】

法人税とは

 法人税は、法人の所得に課税される国税で、各法人が税額を計算して納める申告納税方式です。事業年度は、会計期間が法人の定款や法令などで定められている場合は、これを事業年度とし、その期間ごとに課税所得金額を計算します。事業年度は1年以内です。

法人税の納税義務者

 法人のうち、内国法人は、原則、日本国内で得た所得(国内源泉所得)と、海外で得た所得(国外源泉所得)、ともに納税義務を負います。なお、内国法人に該当しない法人を外国法人といい、その課税範囲は原則、日本国内で得た所得のみとなります。

※内国法人:国内に本店または主たる事務所を有する法人。本店が日本にある法人の海外支店も内国法人となります。

課税所得金額と税務調整

 法人税の課税対象となる所得金額は、企業会計上の利益(収益ー費用)ではなく、法人税法上の所得となります。法人税法上の所得は、益金(税法上の利益)から損金(税法上の費用)を差し引いた金額です。

 収益と益金、費用と損金は、それぞれの範囲が異なるため、会計上の利益と法人税法上の所得は必ずしも一致しません。そのため、会計上の利益に加算・減算をして、法人税法上の所得を求めるように調整を行います。これを税務調整(または申告調整)といいます。

企業会計上の利益と、法人税法上の所得の違い

企業会計上の利益=収益ー費用

法人税法上の所得(課税所得金額)=益金ー損金

2つの金額は、通常、一致しないため税務調整が必要

企業会計上の利益は、企業会計基準に基づいて決算書を作成して算出します。一方の法人税法上の所得を算出する根拠法令は法人税法です。法人税は、企業会計で求めた決算書の利益を法人税法上の取扱いに調整して求めます。

課税所得金額の計算方法

 税務調整は、益金算入、損金不算入、益金不算入、損金算入の4つの調整を用いて行います。益金算入、損金不算入では法人税法上の所得金額が増え、益金不算入、損金算入では所得金額が減ります。

加算項目

・益金算入

 収益ではないが、益金となるもの。法人税の還付加算金(税金の納めすぎ等の理由により還付金が発生した際、その還付金につく利息相当分のこと)

・損金不算入

 費用ではあるが、損金とならないもの。法人税、法人住民税、交際費、役員給与など

減算項目

・益金不算入

 収益ではあるが、益金とならないもの。法人税の還付金、株式等の受取配当金など

・損金算入

 費用ではないが、損金となるもの。繰越欠損金、収用の場合の特別控除等

税務調整による法人税法上の所得金額の計算

会計上の利益+税務調整{加算項目(益金算入・損金不算入)ー減算項目(益金不算入・損金算入)}=課税所得金額(法人税法上の所得)

 税務調整により会計上の利益に加算・減算して、法人税法上の利益(所得金額)を算出します。これにより、日常の経理業務では益金ー損金=所得をあらためて計算しなくても、会計上の利益から課税所得金額を計算することができるわけです。

【益金】

 法人が株式等の配当金を受け取った場合、会計上は収益ですが、税法上は一定の割合について益金不算入となります。

配当金益金不算入の割合

・法人の持株比率:100%(完全子会社)

→受取配当金の益金不算入の割合:100%(全額益金不算入)

・法人の持株比率:1/3超=100%未満(関連法人)

→受取配当金の益金不算入の割合:原則100%(負債利子控除の適用あり)

・法人の持株比率:5%超~1/3以下(その他)

→受取配当金の益金不算入の割合:50%

・法人の持株比率:5%以下(非支配目的)

→受取配当金の益金不算入の割合:20%

※配当金を支払った法人は、法人税課税後の利益からその配当金を支払っているため、受け取った配当金を含めた収益から法人税を支払うと、二重課税という結果になります。そのため、受取配当金の一部、または全部を益金不算入としています。

【損金】

役員給与と役員退職金

 役員給与は主に、定期同額給与、事前確定届出給与、業績連動給与のいずれかに該当します。いずれも。その金額が適正であれば損金に算入できますが、不相当に高額な部分は損金不算入となります。なお、役員賞与は、事前確定届出給与として届出を行わない決算によるものは損金不算入となります。

 また、役員退職金は、事前に届出を行わなくとも不相当に高額な部分の金額を除いて、損金に算入することができます。

※従業員への給与や賞与は、原則、全額を損金算入することができます。

内容による役員給与の違い

・定期同額給与

 1か月以下の期間ごとに一定額を支給する同額の給与(通常の月々の給与)

・事前確定届出給与

 所定の時期に確定額を支給することを、あらかじめ所轄税務署長に届け出ている給与

※届け出ている額と異なる給与を支給した場合、その全額が損金不算入となります。

・業績連動給与

 業績連動型で、支給額の算定方法が客観的である給与

交際費等

 交際費等とは、法人が事業に関係する得意先や仕入れ先に対して、接待や贈答などを行う場合の支出をいいます。ただし、似たような目的の支出であっても交際費等に該当せず、損金算入できるものもあります。

交際費に該当しない支出例

・1人あたり5,000円以下となる得意先等との飲食費→会議費

・カレンダーや手帳などの作成費用→広告宣伝費

・会議での茶菓子や弁当代などの飲食費→会議費

・社内旅行や運動会等の従業員の慰安のためのイベント費用→福利厚生費

 交際費等は、会計上は全額費用として計上されますが、法人税法上は原則として損金不算入となります。ただし、一定の交際費等については損金に算入することができます。

損金に算入できる交際費等の限度額

・資本金1億円超100億円以下の法人

→年間交際費のうち接待飲食費の50%

・資本金1億円以下の法人

→下記のいずれか多い金額

1、年間交際費のうち接待飲食費の50%

2、年間交際費のうち800万円以下の全額

個人事業主の場合、原則として交際費等は必要経費として、全部計上できます。

租税公課

 法人が納付した税金や罰金など(これを租税公課といいます)については、損金に算入できるものとできない(損金不算入)ものがあります。

租税公課によって異なる損金算入

・損金算入できる租税公課

 法人事業税、固定資産税、都市計画税事業所税自動車税印紙税

・損金算入できない租税公課

 法人税、法人住民税、延滞税、加算税、印紙税の過怠税、罰金、交通反則金など

※法人が支払った法人事業税、固定資産税、都市計画税などは損金算入できますが、法人税や法人住民税の本税は損金算入できません。

減価償却

 減価償却費として損金に算入できる金額は、法人が選択した償却した方法によって損金経理(会計上で費用として計上)した金額のうち、償却限度額を超える部分は、法人税法上は損金不算入となります。

 償却方法は所得税同様、原則として定額法か定率法かの選択制です。選択は、所轄の税務署長への届出により行いますが、届出がない場合は法定償却方法である定率法となります。

 なお、建物など定額法でしか償却できないものもあります。

減価償却の計算方法である定額法は、毎年同額を費用として計上する方法。一方、定率法は一定の率を乗じて算出した額を費用として計上する方法で、減価償却費は逓減していきます。

法人税所得税の償却法の違い

〇建物

 法人税所得税ともに定額法のみ

※1998年4月1日以後に取得したもの。2016年4月1日以後に取得したもので、鉱業用を除く

〇建物付属設備・構築物

 法人税所得税ともに定額法のみ

〇その他の減価償却資産

法人税は定額法または定率法(法定償却方法は定率法)

所得税は定額法または定率法(法定償却方法は定額法)

 また、少額の減価償却資産の取扱いについては所得税と同じで、主な事業として行われるもの以外で貸付の用に供した資産が除かれることも同じです。

少額の減価償却資産の取扱い

・少額減価償却資産

 使用期間が1年未満の資産や、取得価額が10万円未満の資産は減価償却せず、取得価額の全額を損金算入できる

・一括償却資産

 取得価額が10万円以上20万円未満の資産については、一括して3年間で均等に償却できる

・中小企業者等の少額減価償却資産の特例

 資本金1億円以下の中小企業などで青色申告している法人は、取得価額が10万円以上30万円未満の資産について、取得価額の全額を損金算入できる。

※常時使用する従業員数が500人を超える法人は除く

※適用を受ける事業年度において取得価額の合計額が300万円を上限とする。

寄附金

 国または地方公共団体への寄附金と指定寄附金は、全額損金とすることができます。それ以外の寄附金は、一定の限度額までを損金に算入できます。

法人・役員間の取引の役務

 法人と役員の間で資産の取引について、税務上の取扱いは法人と役員、それぞれ以下のようになっています。

法人と役員間の資産の譲渡取引

〇法人の資産を役員に譲渡した場合

・低額譲渡または無償譲渡

 法人の取扱い:時価との差額を役員給与とする(原則、損金不算入)

 役員の取扱い:時価との差額は、役員給与とされる

・高額譲渡

 法人の取扱い:時価との差額が受贈益(益金算入)となる

 役員の取扱い:時価との差額は法人への寄附とみなされる

〇役員の資産を法人に譲渡した場合

・低額譲渡または無償譲渡

 法人の取扱い:時価との差額が受贈益(益金算入)となる

 役員の取扱い:①時価の1/2未満で譲渡した場合、時価額が役員個人の収入とされ、譲渡所得の対象となる

        ②時価の1/2以上で譲渡した場合、譲渡価額が役員個人の収入とされ、譲渡所得の対象となる

・高額譲渡

 法人の取扱い:時価との差額を役員給与とする(原則、損金不算入)

 役員の取扱い:時価との差額は、役員給与とされる

※個人から法人に対する低額譲渡は、通常、時価の1/2未満での譲渡をいいます。つまりは、定額譲渡は安く売る、高額譲渡は高く売るということになります。

※法人と役員間の譲渡取引の取扱いは、役員が得している場合は主に役員給与となり、法人が得している場合は益金として課税されます。

法人と役員間の金銭の貸借

〇法人が役員に金銭を貸し付けた場合

・無利息または通常よりも低い金利

 法人の取扱い:適正な利息との差額を益金算入し、役員給与とする

 役員の取扱い:適正な利息との差額が役員給与となる

〇役員が法人に金銭を貸し付けた場合

・適正な利息の授受がある

 法人の取扱い:支払利息として費用を計上する(損金)

 役員の取扱い:雑所得となる

・無利息

 法人の取扱い:経理処理は不要

 役員の取扱い:課税関係はない

法人と役員間の住宅の貸借

 法人が保有する社宅を、役員に無償か通常より低い金額で貸した場合、適正な賃貸料相当額との差額を役員給与とし、法人税法上の取扱いは原則、損金不算入とします。また、役員には給与所得として課税されます。

法人税の税率と申告・納税】

法人税額の計算

 法人税は、税務調整後の所得金額に法人税の税率(23.2%)を掛けて算出しますが、期末資本金が1億円以下の一定の中小法人に対する税率は、所得金額のうち、通常800万円以下の部分について15%の軽減税率が適用されます。

法人税の税率(普通法人)

〇期末資本金1億円以下等の中小法人(原則)

・所得金額のうち、800万円以下の部分:15%(軽減税率)

・所得金額のうち、800万円超の部分:23.2%

〇上記以外の法人

 23.2%

確定申告と中間申告

 法人税の申告には、確定申告と中間申告があります。法人税を申告した法人は、原則として、申告書の提出期限までに法人税を支払わなければなりません。つまり、申告期限と納付期限が同じということになります。

法人税の確定申告と中間申告

・確定申告

 原則として、事業年度終了の日(決算日)の翌日から2か月以内に申告し、納税する。

・中間申告

 事業年度が6か月を超え、全事業年度の法人税額が20万円を超えた法人は、原則、事業年度開始から6か月を経過した日から2か月以内に申告し、納税する。

※中間申告は、例えば1月31日が決算日の法人の場合、2月1日~7月31日までの分について、8月1日から9月30日までに申告、納付することになります。

法人税の納税地

 内国法人は、その本店または主たる事務所の所在地が納税地となります。外国法人で国内に事務所等を有する法人は、その事務所等の所在地が納税地となります。

法人税青色申告

 法人税にも個人の所得税同様、青色申告制度があります。青色申告制度の適用を受けるには、一定の期限までに青色申告承認申請書を納税地の所轄税務署長に提出し承認を受けなくてはなりません。

青色申告承認申請書の提出期限

・原則

 青色申告制度の承認を受けようとする事業年度開始日の前日

・新設法人

 以下のいずれか早い日の前日

①法人設立の日から3か月経過日

②最初の事業年度の終了の日

青色申告制度の特典

 青色申告制度の承認を受けた法人は、税法上の特典を受けることができます。

〇欠損金の繰越控除

 事業年度に生じた欠損金(赤字)を翌年以降10年間、繰越控除することができます。

〇欠損金の繰戻還付

 利益が出て法人税を支払ったよく事業年度に欠損金が出た場合、その欠損金を繰り戻し、前事業年度分の法人税の還付を受けることができます。

ただし、

・原則、資本金1億円以下の中小企業に適用

・繰戻還付の対象となるのは前事業年度だけ

・前事業年度、今事業年度ともに青色申告法人である

〇その他、中小企業の減価償却の特例 など

【決算書】

 決算書には主に以下のものが含まれます。

損益計算書(P/L:プロフィットアオンドロスステートメント

→一定期間における企業の収益・費用・利益を示す書類

貸借対照表(B/S:バランスシート)

→期末時点(決算日)における企業の財務状況(資産、負債、純資産の残高)を示す書類

・株主資本等変動計算書

→一定期間における企業の株主資本等の変動状況を示す書類

キャッシュフロー計算書

→一定期間における企業のキャッシュフロー(資金の増減)の状況を、営業、投資、財務に分けて示す書類

【法人住民税・法人事業税・地方法人税

法人住民税

 法人住民税は、法人に対する道府県民税と市町村民税に分けられ、それぞれに均等割と法人税割の合計額が税額となります。

※東京都は法人住民税を法人都民税とし、他の道府県とは標準税率の設定等が異なります。

法人住民税の構成

都道府県民税

・均等割

 資本金等の額に応じて課税

法人税

 法人税額を基礎として課税

〇市町村民税

・均等割

 資本金等の額と従業員の数に応じて課税

法人税

 法人税額を基礎として課税

法人事業税

 法人事業税は、法人の事業に対して課税される都道府県民税です。税額は所得金額に税率を掛けて計算します。ただし、資本金が1億円超の法人に対しては、所得金額以外の要素も考慮した外形標準課税が適用されます。

※個人事業税には事業主控除(控除額290万円)がありますが、法人事業税には同様の控除はありません。

※外形標準課税:所得金額による従来の所得割に、付加価値割(報酬給与、支払利子、純支払貸借料等により算出)と資本割(資本金等の額)からなる外形標準を加えて課税標準を算出する税制度です。

地方法人税

 地方法人税は、課税標準法人税額に所定の税率を掛けて計算します。納付期限は、法人税と同じ、決算日の翌日から2か月以内です。

【法人成り】

 個人で行っている事業を、株式会社などの法人組織にすることを、法人成りといいます。法人成りには以下のようなメリット、デメリットがあります。

法人成りの主なメリットとデメリット

〇メリット

・課税所得が高い場合、所得税より法人税が有利になる場合がある

・経営者の報酬(退職金を含む)を経費として計上できる

〇デメリット

・交際費の損金計上に制限がある

・赤字でも税金が発生する

・申告のための書類の作成や事務手続きが煩雑になる

 

 以上が、法人税等についてでした。以前は課税売上高が1,000万円を超えた場合法人化した方が良いという話がでていましたが、最近はマイクロ法人を作って社会保険料等を下げる等々新しい発想が出ています。今後も税制が変わるたびにいろいろな手法が出てきそうですね。一度ご自身のことを考えるきっかけにしていただけたらと思います。

 

 では、まったり~!