こんにちは、だつりょくまんです。前回は、不動産にかかる税金と特例について、書いてきました。
今回は、不動産の有効活用と投資分析について、書いていきたいと思います。一緒に勉強を頑張っていきましょう!
- 【土地の有効活用】
- 土地信託方式→信託銀行に任せて配当を受け取る
- 等価交換方式→土地を譲渡し、建物を受け取る
- 定期借地権方式→一定期間土地を貸す
- 建築協力金方式→入居予定のテナントが出資する
- 【不動産投資の収益性】
- 【不動産の小口化と証券化】
【土地の有効活用】
土地の所有者が土地を有効活用する。つまり収入を得る方法には様々なものがあり、以下がその代表的な方法です。
自己建設方式→自分で行う
・内容
土地所有者が土地を保有したまま建物を建設し、賃貸業を行う。企画、資金調達(借入れなど)から管理、運営まで自分で行う
・メリット
外部委託等のコストが抑えられ、収益性が高い
・デメリット
自分で行うため手間、時間がかかる。専門知識が必要
事業受託方式→業者に任せる
・内容
土地所有者が土地を保有したまま、土地活用のすべてをデベロッパー(開発業者)に任せて、賃貸業を行う
・メリット
専門知識が不要。土地所有者の業務負担が少ない
・デメリット
資金は土地所有者が負担。デベロッパーに報酬を支払う分、収益性は下がる
土地信託方式→信託銀行に任せて配当を受け取る
・内容
信託銀行に土地を信託し、信託銀行が資金調達から建物の建設、運営などの賃貸事業を行う。土地所有者には、運用実績に応じて
信託配当金が支払われる。信託期間中は土地の名義や建物は信託銀行に移るが、信託修了後、土地所有者に戻る
・メリット
専門知識が不要。手元資金が不要
・デメリット
実績に応じた信託報酬のため、収入が保証されていない
等価交換方式→土地を譲渡し、建物を受け取る
・内容
土地所有者は土地を拠出(出資)し、デベロッパー等が建物を建設する。土地建物は、それぞれの出資比率に応じて所有する。つまり、土地と建物を等価で交換する手法。その方式には「全部譲渡方式」と「部分譲渡方式」の2つがある。これにより、交換で受けた建物部分を賃貸するなどして収益を得られる。
・メリット
借入れ等の資金負担がない
・デメリット
デベロッパーと土地の共有や、建物の区分所有をする
※等価交換方式の出資割合は、土地所有者は土地の価格分、デベロッパーは建築費となります。つまり、土地所有者は出資するかわりに、土地を譲渡(売却)するため、新たな資金負担はないといえます。
定期借地権方式→一定期間土地を貸す
・内容
土地所有者が定期借地権を設定して貸し付けて借地代を受け取る。建築は借地権者が行い、建物の所有権も借地権者が有する
・メリット
土地の所有権は土地所有者が持つ。建設資金の負担がなく、一定期間にわたり収益が見込める
・デメリット
契約期間が比較的長期にわたるため、その間の土地の転用等が難しくなる
建築協力金方式→入居予定のテナントが出資する
・内容
店舗等を建てたいテナントから、店舗等の建設資金を建設協力金(保証金)として預かり、その資金で土地所有者が自分名義で店舗等を建てる。テナントからは建設協力金を差し引いた額の賃料を受け取る
・メリット
一般的には借入れ等の資金負担がない。土地と建物の所有者が同じため、権利関係が難しくない。相続財産評価では、土地は貸家建付地、建物は借家になる
・デメリット
テナントが撤退した場合、建物の汎用性が低いこと
【不動産投資の収益性】
賃貸住宅経営等の不動産投資を行うとき、採算がとれるかどうかを検討、判定する必要があります。その代表的な指標として投資利回りがあります。
投資利回りは、投資額に対する収入の割合のことで、不動産投資の収益性を計る指標となります。その計算方法として、以下の3つがあります。
表面利回り(単純利回り)
計算は簡単ですが、純利回りに比べ正確性は劣ります。
表面利回り(%)=年間収入合計÷投資総額×100
賃貸住宅で考えると、、、
年間収入合計:年間の家賃収入等の合計額
投資総額:賃貸物件を得るためにかかった費用(自己資金+借入金)
純利回り(NOI利回り・実質利回り)
諸費用を考慮するため、表面利回りよりも正確性が高くなります。
純利回り(%)=(年間収入合計ー年間費用合計)÷投資総額×100
賃貸住宅で考えると、、、
年間収入合計:年間の家賃収入などの合計額
投資総額:賃貸物件を得るためにかかった費用(自己資金+借入金)
年間費用合計:火災保険料、修繕費、管理委託費など
※NPI利回り:純利回り、または実質利回りのこと。(Net Operating Incomeの略)
キャッシュ・オン・キャッシュ
自己資本(自己資金)に対する現金手取り額の割合を表すもの。他の金融商品との比較がしやすい指標です。
借入金の金利よりも不動産投資の収益率が上回っている状態であれば、レバレッジ効果が生まれキャッシュ・オン・キャッシュは高まります。
キャッシュ・オン・キャッシュ(%)=現金手取り額÷自己資本×100
※レバレッジ効果とは、借入金の金利よりも総投下資本に対する収益率が上回っている場合には、全額自己資金で投資を行うよりも、借入金を併用する方が、自己資金部分の収益率の向上が期待できる効果をいいます。
収益還元法
不動産が将来生み出す賃貸収入等の収益を、現在の価値に割り戻して収益価格を求める方法。賃貸用や事業用の不動産の価格を求める方法として有効です。収益還元法には、直接還元法とDCF法の2つがあります。
※自用の不動産であっても、賃貸を想定することで、収益還元法により評価することが可能です。
直接還元法
一定期間(単年)の純利益を還元利回り(一定の利回り)によって割り戻して価格を求める手法を直接還元法といいます。
不動産投資の有効性を判断するための分析手法として一般的に用いられています。
直接還元法による収益価格=(一定期間の総収入‐必要経費)÷還元利回り
DCF法(ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法)
DCF法は、不動産から将来継続して生まれる各期の純収益(総収入ー必要経費)と、保有期間終了後の復帰価格(売却額ー売却費用)を。それぞれ現在価値に割り戻し、その収益価格を求める手法です。
DCF法を用いた代表的な投資分析手法として、NPV法(正味現在価値法)とIRR法(内部収益率法)があります。
※内部収益率:投資期間中に得られる各年度の収益の現在価値の合計と、保有期間終了後の不動産価格の現在価値の合計が、初期投資額と等しくなる割引率。
〇NPV法とは
・投資期間中に得られる賃料などの収益を現在の価値に割り戻し、その合計から、初期投資額(投資額の現在価値の合計額)を差し引いて、正味現在価値を求める。
・正味現在価値がプラスであれば、収益の方が多いため投資有利と判定される。
〇IRR法とは
・内部収益率と、投資家が期待する収益率を比較する。
・内部収益率が投資家の期待収益率を上回れば、投資有利と判定される。
※投資による採算について、NPV法は金額、IRR法は割合で判定するという違いがあります。
【不動産の小口化と証券化】
一般に、不動産投資には多額の資金が必要ですが、小口化や証券化により少額投資を可能にし、多数の投資家に出資・購入してもらうことができます。
不動産の小口化
不動産の小口化とは、複数の投資家が出資し合い、共同でひとつの不動産に投資、運用する手法です。
不動産の証券化
土地や建物などから生じる賃料、売却益を原資として、社債や株式などの証券を発行することを、不動産の証券化といいます。投資家は証券化により細分化され出資しやすくなり、収益の分配を受けることができます。
広く普及している不動産の証券化として、上場不動産投資信託(J-REIT)があります。
投資法人が、投資家から集めた資金でオフィスビルや商業施設、マンション、ホテルなどを購入し、その賃料や売却益などを投資家に分配する金融商品
・J-REITは多数の銘柄が上場し、個人投資家でも市場を通して売買が可能
・換金方法は市場での売却
以上が、不動産の有効活用と投資分析についてでした。初心者でいきなり不動産投資を踏み切るには勇気がいるため、J-REITで初めてみるのもありかもしれませんね。
では、まったり~!