こんにちは、だつりょくまんです。前回は、生命保険のしくみと保険の契約について、書いてきました。
今回は、生命保険の種類と契約について、書いていきたいと思います。一緒に勉強を頑張っていきましょう。
【定期保険】
生命保険の定期保険、終身保険、養老保険という基本3タイプがあります。まずは、定期保険から学んでいきます。
定期保険
被保険者の死亡・高度障害状態を一定期間保障するのが定期保険です。無事に満期を迎えても満期保険金はなく、保険料は基本的に掛捨てです。終身保険や養老保険と比べて保険料は安くなっています。定期保険には平準定期保険、逓増定期保険、逓減定期保険、収入保障保険などがあります。
※逓増:徐々に増えること。 逓減:徐々に減ること。
※平準定期保険よりも保険期間が長いのが長期平準定期保険です。経営者の加入が多い保険で、最長100歳満期という商品もあります。
平準定期保険
契約から満期まで保険金額が変わらない。
逓増定期保険
契約から満期まで段階的に保険金額が増加する。
逓減定期保険
契約から満期まで段階的に保険金額が減少する。
収入保障保険
死亡保険金等を年金形式で受け取ることができる。
※収入保障保険は一時金で受け取ることもできますが、年金形式よりも受取額は少なくなります。
【終身保険】
終身保険
被保険者の死亡・高度障害状態を一生涯保障するのが終身保険です。貯蓄性はありますが、早期に解約してしまうと払込保険料の総額よりも解約返戻金が少なくなります。
終身保険の保険料払込み方法
終身保険の保険料払込み方法には終身払いと有期払いがあります。有期払いの方が毎回支払う保険料は高くなります。
終身払い:保険料の払込みが契約期間中は一生涯続く。
有期払い:一定期間で保険料の払込みが終了する。保険料の払込みが終了しても保障は一生涯続く。
※男性と女性を比べると女性の方が平均寿命が長く、死亡のリスクが低いため、死亡保険金のための保険料は安くなります。
※死亡等するまで保障が続くので、保険料は定期保険よりも高くなります。
・保障が一生涯続く
・保険料払込修了後に、死亡保障に代えて解約返戻金を年金に移行して受け取る特約を付けることもできる。
・死亡保険金は相続税対策としても活用される
低解約返戻金型終身保険
・保険料払込期間中の解約返戻金が抑えられているため、通常の終身保険よりも保険料が安い
・保険料払込期間終了後の解約返戻金は、通常の終身保険と同程度となる。
定期保険特約付終身保険
・主契約となる終身保険に定期保険を特約として付ける
・一定期間の保障が厚くなる
・更新型は自動更新になるので告知不要
〈全期型〉
特約の保険期間を、終身保険の保険料払込満了と同時期にするタイプ
〈更新型〉
特約の保険期間を区切り、期間終了ごとに更新していくタイプ
積立利率変動型終身保険
・市場金利の変動を、一定期間ごとに積立利率へ反映させる
・死亡保険金等は契約時に定めた基本保険金額が最低保証される
・解約返戻金は最低保証がある
・契約後に積立利率が高くなった場合、契約時に定めた基本保険金額や解約返戻金を上回ることがある。
利率変動型積立終身保険(アカウント型保険)
・保険料を、保障部分と積立部分に分けられる
・保障部分と積立部分の保険金額は増減できる
・積立部分は引出しや追加投入も可能
・払込満了時の積立金をもとに終身保険へ移行できる。
※アカウント:ここでいうアカウントは口座のこと。銀行口座のような積立部分がついているので、アカウント型保険といいます。
【養老保険】
養老保険
養老保険は被保険者の死亡・高度障害状態を一定期間保障します。その期間内に死亡した場合には死亡保険金が支払われ、生存して満期を迎えれば満期保険金(死亡保険金と同額)を受け取ることができます。
※高度障害保険金が支払われた場合は、満期保険金は受け取れません。
・保険期間中に死亡したら死亡保険金が支払われる(契約は終了)
・保険期間中に高度障害になったら高度障害保険金を受け取れる(契約は終了)
・死亡保険金や高度障害保険金を受け取ることなく満期を迎えたら、満期保険金を受け取れる。
【その他の生命保険】
生命保険には、様々な種類があります。
変額保険
変額保険は、保険会社が受け取った保険料を株式や債券等で運用し、その運用成果によって保険金や解約返戻金が増減する保険です。
保険料は、定額保険資産を管理するための一般勘定とは別の、特別勘定に分けて管理・運用されます。
変額保険には終身型と有期型の2種類があり、どちらも満期保険金、もしくは解約返戻金は運用成果により決まるため、最低保証額はありません。ただし、死亡保険金等には基本保険金額が定められ、最低保証額が確保されています。
※特別勘定:保険会社が変額保険の保険料を運用、管理するための勘定です。この特別勘定には投資信託が使われるのが一般的です。運用の成果により保険金や解約返戻金、満期保険金が変動します。
変額保険(終身型)
一生涯保障が続く(満期がない)。基本保険金額は最低保証され、死亡保険金等は運用次第で増額する場合もある。解約返戻金は運用次第で変動する。
変額保険(有期型)
保証期間が一定期間(満期がある)。基本保険金額は最低保証され、死亡保険金等は運用次第で増額する場合もある。解約返戻金、満期保険金は運用次第で変動する。運用成果により満期保険金が基本保険金額よりも多く受け取れることもある。
・運用成果に応じて死亡保険金等と解約返戻金の額が変動する。
・死亡保険金等は最低保証あり
・満期保険金と解約返戻金は最低保証なし。
こども保険(学資保険)
こども保険(学資保険)は、大学進学時期などに満期金を受け取ることができる保険です。出生前から加入できたり、進学のタイミングでお祝金を受け取ることができるタイプもあります。
万一、契約者である親が死亡、あるいは高度障害状態になった場合、それ以降の保険料の支払いは免除となりますが、お祝金や満期保険金は当初の契約どおり支払われます。
※こども保険の契約者が死亡しても死亡保険金はありません。
団体定期保険(Bグループ保険)
団体定期保険(Bグループ保険)は、企業などの団体が契約者となる保険です。団体の従業員等が任意で加入して保険料を負担します。保険管理等のコストが抑えられるため、保険料は割安となります。
総合福祉団体定期保険
法人の役員・従業員の死亡または高度障害の保障を目的とした保険です。法人を保険契約者にし、役員・従業員を被保険者として、もしもの場合の弔慰金・死亡退職金などを確保するためのものです。1年更新の定期保険で、保険料は法人が負担し、全額損金(経費)として経理処理できます。また、死亡保険金等の受取人は被保険者の遺族、あるいは法人にすることができますが、法人にする場合は被保険者の同意が必要です。
※ヒューマン・ヴァリュー特約:役員、あるいは従業員の死亡等による法人の利益の喪失や、新たな従業員等を雇用するための費用などをカバーします。そのため、この特約の保険金の受取人は契約者である法人になります。
※従業員の財産形成を目的として、保険商品で積み立てる財形貯蓄積立保険(一般財形)があります。従業員向けの制度で役員は利用できません。
団体信用生命保険
団体信用生命保険とは、住宅ローンの返済者が死亡等した場合に、その時点の住宅ローンの残高と同額の保険金が金融機関等へ支払われる保険です。残された遺族はその後の住宅ローンの支払いが不要になります。
団体就業不能保障保険
団体就業不能保障保険とは、従業員が病気やケガで就業不能となったときに保険料が支払われる、1年更新の定期保険です。企業が従業員に対して休業補償給付金を支給する場合に、その原資として活用できます。
【個人年金保険】
個人年金保険
個人年金保険は、一定の年齢に達したら年金を受け取ることができる保険です。年金を受け取る年齢や受け取り方法は契約時に決めます。通常の個人年金保険のほか変額個人年金保険や外貨建て個人年金保険などがあります。
個人年金保険は、保険料払込満了から年金の受取開始まで据置期間を設定することができます。据置期間が長い方が受け取れる年金額は多くなります。
年金受取開始前に被保険者が死亡した場合は、既払込保険料相当額等の死亡給付金が支払われます。
終身年金
被保険者が生存している間、年金を受け取れる。女性の方が保険料が高い。
保証期間付終身年金
被保険者が生存している間、終身で年金を受け取れる。また、保証期間内に被保険者が死亡した場合、保証期間中は遺族が年金を受け取れる。
有期年金
被保険者が生存している間の一定期間、年金を受け取れる。
保証期間付有期年金
被保険者が生存している間、有期期間は年金を受け取れる。また、保証期間内に被保険者が死亡した場合、保証期間中は遺族が年金を受け取れる。
確定年金
被保険者の生死に関係なく、一定期間年金を受け取れる。
夫婦年金
・夫婦いずれかが生存している間、年金を受け取れる。
・一方の死亡後、残された配偶者が老後資金を確保できる
・終身年金などから変更することが多い
変額個人年金保険
変額個人年金保険は、保険会社が保険料を株式・債権等で運用し、運用成果によって受け取る年金額、解約返戻金額が変動するものです。
被保険者が年金受取開始前に死亡した場合に支払われる死亡給付金については、払込保険料相当額が通常、最低保証されます。なお、解約返戻金には最低保証がありません。
外貨建て個人年金保険
外貨建て個人年金保険は、積立金を米ドル、豪ドル、ユーロなどの外貨で運用する個人年金保険です。外貨建てでの年金額は、外貨で確定していますが、円貨で受け取るには為替レートの影響を受けるため、契約時に円で換算した年金額を下回る、または上回る為替リスクが生じる場合があります。
【民間保険会社以外の保険】
かんぽ生命
株式会社かんぽ生命保険が取り扱う生命保険です。無診査(要告知)で加入でき、加入限度額は原則1,000万円までとなっています。
加入限度額
原則:1,000万円
例外:15歳以下 700万円まで。20歳以上55歳以下で加入後4年以上経過した場合等の条件の下で累計2,000万円まで
倍額保障
加入後1年6か月を経過後、不慮の事故によるケガで180日以内に死亡したなどの場合、基本保障の2倍の額が支払われる制度
共済
各組合が組合員やその家族等に対して様々な保険商品を取り扱っています。一般に、民間の生命保険よりも掛金や保障が少額なのが特徴です。主な共済は次のとおりです。
こくみん共済coop:全労済
CO・OP共済:コープ共済連
【主な特約】
生命保険は、特約を付け加えて保障内容を補完することができます。
特約は単独で契約することはできず、主契約に付加して契約します。主契約を契約すると同時に特約も解約となります。
主な特約の種類
災害割増特約
不慮の事故や所定の感染症で180日以内に死亡または高度障害になった場合に、主契約に上乗せして保険金が支払われます。
傷害特約
不慮の事故や、所定の感染症で180日以内に死亡または所定の身体障害状態になった場合等に、主契約に上乗せして保険金または給付金が支払われます。
災害入院特約
不慮の事故によるケガで180日以内に入院した場合に給付金が支払われます。
疾病入院特約
病気で入院した場合に給付金が支払われます。
生活習慣病(成人病)入院特約
所定の成人病(がん、心疾患、脳血管疾患、高血圧性疾患、糖尿病、など)で入院した場合に給付金が支払われます。
通院特約
退院後一定の期間内に、入院の原因となった病気やケガの治療のために通院した場合に給付金が支払われます。
特定疾病保障保険特約(三大疾病保障保険特約)
三大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)にかかり、所定の状態になった場合に、特定疾病保険金が支払われます。
・保険金を受け取った時点で特約は消滅し、その後に死亡しても、保険金が再度支払われることはありません。
・保険金を受け取らないまま死亡した場合は、死亡原因を問わずに保険金が支払われます。
リビング・ニーズ特約
余命6か月以内と判断された場合、死亡保険金の一部、または全額が生前給付金として支払われます。
・特約による請求額は、死亡保険金の範囲内で一被保険者あたり、3,000万円が限度です。
・保険金の支払は、死亡保険金の範囲内で請求保険金額に対する6か月分の保険料相当額および利息相当額を差し引いた金額が支払われます。
※保険料が無料の特約です。また、余命宣告期間より長生きしても保険金を返す必要はありません。
先進医療特約
療養時に厚生労働大臣が承認している先進医療に該当する治療を受けた場合、給付金が支払われます。
※保険契約後に承認された治療も対象となります。
就業不能サポート特約
病気やけがにより就業不能となった場合の収入を補う特約です。精神・神経疾患による就業不能を保障する商品もあります。
【保険契約の見直し】
生命保険に加入後、自身や家族を取り巻く状況が変わった場合は、保険の見直しの検討も必要になります。
増額や減額
現在加入している生命保険金額を増額または減額することができます。
増額の方法
すでに契約している生命保険に、特約を中途付加したり、新規に契約を追加します。保険料はそのときの年齢や保険料率で計算されます。
減額の方法
すでに契約している保険金額を減らすことができます。減額した部分は解約したとされ、原則として解約返戻金があれば受け取れます。
契約転換制度
契約転換制度とは、現在加入中の保険を活用しながら新しい保険を契約する方法です。契約転換時の年齢や保険料率により保険料を計算します。また、契約転換は新契約になるため、告知や医師の診査が必要となります。払済保険や延長保険とは異なり、契約転換制度は契約そのものを変更します。
自動振替貸付制度と契約者貸付制度
加入中の生命保険に解約返戻金があれば、一時的に保険料の支払いが困難になった場合でも、自動振替貸付制度を利用して、契約を継続することができます。契約者貸付制度は手元資金の調達手段として活用できます。
自動振替貸付制度
払込猶予期間を過ぎても保険料の支払いがなかった場合、解約返戻金を限度に保険会社が自動的に保険料を立て替える制度。自動振替貸付を受けた保険料も生命保険料控除の対象となる。
契約者貸付制度
手元に資金が必要になったときに、保障を継続しながら、解約返戻金の一定範囲内で保険会社から貸付を受ける制度。貸付になるので利息が発生する。
なお、保険契約者(保険料負担者)が法人の場合は、契約者貸付制度を利用した場合には経理処理が必要である。
払済保険と延長保険
払済保険や延長保険を活用すると、保険料の支払いを中止し、契約を継続させることができます。払済保険や延長保険へ変更するために告知や医師の診査は不要です。
払済保険
保険料の払込みを中止して、その時点での解約返戻金相当額をもとに、原則、保険期間を変えず元の主契約と同じ種類の保険等に変更する方法です。変更後は、保険金額が下がり、元の保険契約等に付帯している特約は消滅します(一般的にリビング・ニーズ特約等は継続)。
・保険料の払込みを中止する。
・解約返戻金相当額をもとに、一時払いで元の保険(まてゃ養老保険や終身保険)に変更する
・保険金額は少なくなる
・保険期間は原則、変わらない
・特約は原則、消滅する。
※もともとの保険契約と同じ種類の保険等に切り替えるため、付帯していた特約はすべて消滅となります。ただし、一般的な保険では、リビング・ニーズ特約など一部の特約に限り、継続されます。
延長保険
加入中の保険の解約返戻金相当額をもとに一時払いの定期保険に変更し、元の契約の保険金額を変えずに継続させる方法です。
・保険料の払込みを中止する。
・解約返戻金をもとに一時払いの定期保険に変更する。
・保険金額は変わらない
・保険期間は同じか短くなる
・特約は消滅する。
以上が、生命保険の種類と契約についてでした。保険にはたくさんの種類があり、わからないことばかり。社会保険に加入していることや貯蓄等資産をしっかりと把握したうえで、自分にあった保険に加入することを心がけましょう。
では、まったり~!