こんにちは、だつりょくまんです。前回は、公的年金の基本について、書いてきました。
今回は、企業・個人事業主の年金について、書いていきたいと思います。一緒に勉強を頑張っていきましょう。
【企業年金の種類】
企業によっては任意の年金制度として企業年金を設けています。会社員は国民年金と厚生年金の2つに加入していますが、企業年金はそれらの公的年金を補うことが目的の私的年金です。
企業年金には確定給付型と確定拠出型があります。確定給付型は将来、受け取る給付額が確定している年金、確定拠出型は一定の掛金を運用することで将来の年金額が決まります。
【確定給付年金】
確定給付年金は、将来、受け取る給付額が確定している年金で、現在は確定給付企業年金があります。
確定給付企業年金(DB)
企業が従業員と給付の内容を約束し、運用結果が悪ければ、企業がその不足分を穴埋めして年金を支給します。基金型と規約型があり、基金型は別法人として設立された企業年金基金が年金資産を管理運用します。規約型は企業が信託会社や生命保険会社等、外部機関に任せて年金資産の管理運用を行います。なお、加入者が支払った掛金は生命保険料控除の対象となります。
※厚生年金基金も確定給付年金の1つで、厚生年金の一部を国に代わって運用し、上乗せする制度です。しかし、現在は新設が認められておらず、既存のものが残っているのみです。
【確定拠出年金】
確定拠出年金は、一定の掛金を拠出し、その運用成果で将来受け取れる年金額が異なります。企業型と個人型(iDeCo)があり、掛金は、原則企業型は会社が、個人型は加入者本人が拠出し、運用はいずれも加入者本人が行います。
なお、通算の加入者等期間が10年以上ある人は、60歳から老齢給付金を受給できます。ただし、75歳までに受給を開始しなければいけません。
※DC・DB:一般的に、確定拠出年金はDC、確定給付企業年金はDBと言われています。
※企業型確定拠出年金で、加入者が一定の範囲内で事業主の掛金に上乗せできる仕組みをマッチング拠出といいます。
確定拠出年金の概要
企業型
加入対象者
最長70歳未満の厚生年金被保険者。企業型年金規約の承認を受けた実施企業に勤務する従業員。
掛金
事業主(規約に定めた場合は加入者も拠出可能)
拠出限度額
・確定給付型の年金を実施していない場合:年660,000円/月55,000円
・確定給付型の年金を実施している場合:年330,000円/月27,500円
個人型(iDeCo)
加入対象者
最長65歳未満の国民年金被保険者
①自営業者等(第1号被保険者)
②厚生年金保険の被保険者(第2号被保険者)
③専業主婦(夫)等(第3号被保険者)
④任意加入被保険者
掛金
加入者
拠出限度額
①自営業者等
年816,000円/月68,000円
国民年金基金の加入者の場合はその掛金と合わせた額
②厚生年金保険の被保険者のうち
・企業型確定拠出年金のみに加入している場合
年240,000円/月20,000円
・確定給付型の年金に加入している場合(企業型確定拠出年金にも加入している場合を含む)
年144,000円/月12,000円
・上記の制度のいずれにも加入していない場合
年276,000円/月23,000円
・公務員等
年144,000円/月12,000円
③専業主婦(夫)等
年276,000円/月23,000円
確定拠出年金の給付
60歳以降に受給できる老齢給付金、一定の障害状態になった場合に受給できる障害給付金、死亡時に遺族が受給できる死亡一時金があります。
確定拠出年金の税制優遇措置
個人型の確定拠出年金の掛金は全額、小規模企業共済等掛金控除の対象となります。運用中の収益も非課税です。また、年金を一時金として受け取った場合には退職所得となり、退職所得控除の対象となります。老齢給付金として受け取った場合には雑所得となり、公的年金等控除の対象となります。
※転職や退職時に積み立てた年金資産を、個人型年金や転職先の会社の企業年金に移換することをポータビリティといいます。
中小企業退職金共済制度(中退共)
中小企業退職金共済制度とは、中小企業が加入することができ、国の援助がある社外積立型の退職金制度です。
原則として従業員全員が加入し、掛金は全額事業主負担となります。
掛金について
掛金は月額で1人当たり5,000円~30,000円です。従業員ごとに任意で選択することもできます。
①新たに加入する事業主について
→掛金の1/2(上限1人につき5,000円)を加入後4カ月目から1年間助成。
②掛金を増額(月額18,000円以下)する事業主に対して
→増額分の1/3を増額月から1年間助成
掛金の税法上の取扱い
会社の場合:全額損金に算入
個人事業主の場合:全額経費に計上
・加入者は原則として企業の従業員全員。
・従業員が退職した場合、退職金は会社を経由せず直接支給される。
給付(退職金)について
給付は一時払い。ただし、60歳以上で退職し、給付金の額が一定の場合は全部または一部を分割払い(年金形式)にすることもできます。
※中小企業の定義:中小企業基本法に定める中小企業が対象です。基本は従業員数300名以下、資本金・出資金3億円以下ですが、業種によって規模の基準が異なり、例えば小売業の場合は従業員50人以下または資本金5,000万円以下となっています。
【自営業者の年金制度】
自営業者の年金は国民年金(基礎年金)のみで、1階部分しかありません。その分、将来の年金額が少ないので、それを補うために付加年金または国民年金基金、小規模企業共済などの年金制度や退職金制度を利用することができます。
自営業者が利用できる年金・退職金制度
付加年金
第1号被保険者の国民年金の上乗せ制度。国民年金保険料に月額400円を加算することで、65歳から付加保険料の納付月数×200円が、老齢基礎年金に加算されて支払われます。
付加年金の額(年額)=付加保険料を支払った月数×200円
第1号被保険者の国民年金の上乗せ制度。確定拠出年金の掛金と合算して月額68,000円まで拠出できます。
・掛金は全額が社会保険料控除の対象となる。
・加入は口数制で、1口目は終身年金とし、2口目以降は終身年金または確定年金から選択。
・給付は年金で65歳または60歳から支給される。
・遺族一時金はあるが障害給付はない。
※被保険者:任意加入被保険者も加入できる。国内居住の60歳以上65歳未満の者。日本国籍を有し海外に居住する20歳以上65歳未満の者。
※付加年金と国民年金基金の両方に加入することはできません。どちらかを選択することになります。
※終身年金は2種類(保証期間あり・なし)、確定年金は5種類あります。
小規模企業共済
小規模企業の役員や個人事業主の退職金制度。掛金は月額1,000円~70,000円(年額最大840,000円)で、退職や廃業時に受け取り可能。掛金の全額が小規模企業共済等掛金控除(個人の所得控除)の対象になります。共済金(死亡事由以外)を一括で受け取ると退職所得、分割で受け取ると雑所得となります。
※加入対象:従業員数20人以下の個人事業主および共同経営者または会社の役員等が加入できます。ただし、宿泊業・娯楽業以外の商業・サービス業では従業員数5人以下であることが必要です。
以上が、企業・個人事業主の年金についてでした。退職後2,000万円問題が出てきていますが、未然に防ぐことができる方策をとることで、より良い老後を過ごしていきましょう。今後必要額が増える可能性もあるため、ご注意を!
では、まったり~!