こんにちは、だつりょくまんです。前回は、第三分野の保険について、書いてきました。
今回は、経済・金融市場の基礎について、書いていきたいと思います。一緒に勉強を頑張りましょう!
【経済指標と景気指標の基本】
GDP(国内総生産)
国の経済力の大きさを表す代表的な経済指標です。一定期間内に国内の経済活動によって生み出された、財・サービスといった付加価値の合計となります。付加価値とは、経済活動によって生み出された新しい価値のことです。
※GDPの英語表記は、Gross(全体の) Domestic(国内の) Product(生産物)の略です。GDPは内閣府によって、四半期ごとに発表されます。
GDPと経済成長率
経済成長率は、国の経済の年間の上昇率のことです。具体的には、GDPの年間の上昇率(%)で表されます。物価変動を含めた取引金額をベースとした名目GDP成長率(名目経済成長率)と、名目GDP成長率から物価変動率を取り除いた実質GDP成長率(実質経済成長率)があります
GDPは、生産・支出・分配という異なる側面からそれぞれ計算をすることができますが、最終的には同じ数値になるという経済学上の原則です。等式で表すと、生産=支出=分配となります。
景気動向指数
景気動向指数は、景気に対して敏感に反応する生産や雇用に関連する指標をまとめ、経済の先行きを予測した指標のことです。景気動向指数には、コンポジット・インデックス(CI)とディフュージョン・インデックス(DI)の2種類があります。
CIとDI
CI(コンポジット・インデックス)は景気動向の大きさやテンポを、DI(ディフュージョン・インデックス)は景気の波及の度合いを測定します。
※以前は、DIが重視されていましたが、現在は、景気変動の大きさやテンポを把握することが重要だとの判断から、CIを中心に発表されるようになりました。
先行指数、一致指数、遅行指数
CIとDIには、それぞれ先行指数・一致指数・遅行指数という3つの指数があります。
先行指数:景気に先行して動く指数。新規求人数(除学卒)、東証株価指数、新設住宅着工床面積など。
一致指数:景気と一致して動く指数。生産指数(鉱工業)、有効求人倍率(除学卒)、営業利益(全産業)など。
遅行指数:景気に遅れて動く指数。完全失業率、消費者物価指数、法人税収入など。
※現在の景気が拡張しているのか、それとも、後退しているのか、といった景気判断には、一致指数が使われます。一致指数が上昇のときは、景気の拡張局面といえます。
日銀短観
日銀短観の正式名称は、全国企業短期経済観測調査です。日本銀行が、年4回、全国の大手企業や中小企業の経営者に対して行う調査のことです。調査の内容は多岐にわたりますが、最も注目されている項目が、業況判断DIです。
※財務省と日銀が共同で公表する国際収支統計もあります。外国との間で行ったモノやサービス、有価証券等の取引や決済資金の流れなどを集計したものです。
日銀短観の業況判断DIとは
業況とは、企業の事業の状況のことです。調査対象の企業が、自社の業況について、良い・さほど良くない・悪いという選択肢の中から回答します。業況判断DIは、良いと回答した企業の割合から悪いと回答した企業の割合を差し引いて算出します。
※業況判断DIは、現在の業況のほかに、3か月先の業況についての予想も調査します。回答の選択肢は、同じく、良い・さほど良くない・悪いという3択です。
業況判断DI=業況が良いと答えた企業の割合-業況が悪いと答えた企業の割合
マネーストック
マネーストックとは、国や金融機関以外の経済主体が保有している通貨の総量のことです。具体的には、個人や企業、地方公共団体などが保有する、市中に通過している通貨量の総量となります。毎月、日本銀行が発表します。
物価指数
モノやサービスの価格の動向を表す物価指数には、いくつかの種類があります。その中でも重要なのが、消費者物価指数と企業物価指数です。消費者物価指数と企業物価指数は、いずれも物価の動向を示す重要な経済指標です。
発表元:総務省
発表の頻度:毎月
内容:消費者が購入する、様々な商品やサービスの小売価格の変動を表した指数。
企業物価指数
発表元:日本銀行
発表の頻度:毎月
内容:企業間で売買される商品(サービスは除く)の価格変動を表した指数。
【景気循環と金利】
景気の循環とは
景気は、経済活動が拡大する活況と縮小する不況を繰り返します。これを景気循環と呼びます。
景気の4つの局面
景気循環は通常4つの局面で把握されます。この4つの局面が繰り返されて景気のサイクルができています。
好況→後退→不況→回復
※好況のときは、消費が活発になり、企業の生産が増えます。しかし、生産を増やしすぎると商品が過剰になり、在庫が増えて企業は生産を抑制し、不況になります。
景気と金利の関係は
景気動向と金利には、密接な関係があります。その関係性を理解することで、ライフプランを立てる際、どんな金融商品でお金を運用すればよいのか、適切なアドバイスができるようになります。
※景気が良くなってくると、個人消費が活発になり、企業は生産を増やします。そのため、資金の需要が高まり、金利が上昇することになります。
景気と金利の基本的な関係
・景気拡大期
企業の活動が活発化→資金需要が増加→金利上昇
・景気後退期
企業の活動が低調→資金需要が減少→金利低下
物価と金利の関係
・物価が上がる→金融引き締め→金利上昇
・物価が下がる→金融緩和→金利低下
為替と金利の関係
・円安になると→輸入価格が上昇→物価上昇→金利上昇
景気と株価の関係
景気動向と株価の動きにも法則性が見られます。好況のときは、企業の収益が増えるので、その影響が株価の上昇につながります。一方不況のときは、企業の収益は伸び悩むことになり、株価は下落する可能性が出てきます。
・好況→企業の収益が増加見込み→株価上昇
・不況→企業の収益が減少見込み→株価下落
物価が景気に及ぼす影響
物価の変動が景気に大きく影響することがあります。それはインフレ(インフレーション)とデフレ(デフレーション)です。
・インフレ→物価が継続して上昇している状態
・デフレ→物価が継続して下落している状態
※基本的に、物価が上昇している国の通貨は、安くなる傾向にあります。モノの価値が上がると、相対的におカネの価値は下がるからです。インフレが起きると、通貨安が進みやすくなります。
インフレとデフレの影響
・インフレによって、物価が上がり続けると、それに伴ってお金の価値が下がり続けます。
・デフレによって、物価が下がり続けると、お金の価値が上がり続けます。
【金融市場と金融政策】
金融市場とは
金融とは、お金を融通することです。融通の意味は、必要なモノやお金をやりくりすることなので、金融市場とは、お金をやりくりする(=取引をする)ところ、といえるでしょう。具体的な取引は、お金を貸したり、借りたりすることです。
金融市場で取引する参加者
金融市場で取引ができるのは、主に銀行や証券会社、保険会社といった金融機関です。そのほか、一般企業や日銀なども含まれます。
※金融市場は、個人が直接参加して鳥h気することはできません。
金融市場のしくみ
金融市場では、主に金融機関同士や、金融機関と企業との間で、お金の取引をします。取引の期間によって2つに大別され、取引期間が1年未満を短期金融市場、1年以上を長期金融市場と呼んでいます。
短期金融市場
金融機関のみが参加可能なインターバンク市場や金融機関以外の一般企業も参加可能なオープン市場がある。
長期金融市場
株式市場や債券市場がある。
インターバンク市場とオープン市場
・インターバンク市場
その名のとおり銀行間の市場なので、銀行や証券会社、保険会社といった金融機関のみが参加できます。手形を取引する手形市場や、短期の資金の貸し借りをするコール市場があります。
※コール市場の代表的な金融商品は、無担保コール翌日物で、今日借りて、明日返すという期間1日の取引です。
・オープン市場
金融機関以外の一般企業も参加することができる、短期金融市場のことです。
債権市場
債券市場では様々な債券が取引されています。その中でも、新規に発行された期間10年の国債の流通利回りは、長期金利の指標として利用されています。
日銀の金融政策
日本銀行(日銀)は、物価を安定させることを目的として、以下のような、様々な金融政策を金融市場で行います。
公開市場操作(オペレーション)
金融市場で取引される通貨量を日銀が調節することを公開市場操作といいます。公開市場操作には、買いオペレーションと売りオペレーションの2種類があります。
・買いオペレーション
内容:金融市場で、日銀が金融機関から国債などを買う→日銀がお金を払う(資金供給)
通貨供給量:増える
金利:低下
政策の目的:金融緩和
・売りオペレーション
内容:金融市場で、日銀が金融機関へ国債などを売る→日銀がお金をもらう(資金吸収)
通貨供給量:減る
金利:上昇
政策の目的:金融引き締め
預金準備率操作
金融機関は、預金など保有資産の一定の割合を日銀に預けることが義務付けられています。この割合を預金準備率と呼びます。金融市場に出回るお金を調整するために、この預金準備率を引き上げたり、引下げたりすることが預金準備率操作です。
預金準備率操作の影響
・預金準備率の引き上げ
金融機関は、日本銀行により多くの預金を預けるため、市場に出回る資金の量は減ります。→金利を上昇させる効果がある(金融引き締め)
・預金準備率の引き下げ
金融機関は、日銀に預ける預金の量が減るため、市場に出回る資金の量は増えます。→金利を低下させる効果がある(金融緩和)
※日銀は、金融市場の通貨量を調節して、金利の誘導を行います
※預金準備率は、支払準備率や法定準備率とよばれることもあります。
日銀の金融政策と物価変動
日銀の金融政策の目的は、物価を安定させることですが、そのための直接的な手段として、公開市場操作と預金準備率操作などを行い、金利を上下させることで、物価の調整を行います。
金融緩和と金融引き締めの効果
・金融緩和:金利低下→景気回復を促進→物価の下落を抑制
・金融引き締め:金利上昇→景気の過熱を抑制→物価上昇を抑制
※金融引き締めは、金利を上昇させる効果があるので、株価の下落要因になります。
金融調節の効果と狙い
・金融緩和
金融政策:買いオペレーション、預金準備率引き下げ、政策金利の引き下げ
金融政策の狙い:物価の下落(デフレ)を抑制
・金融引き締め
金融政策:売りオペレーション、預金準備率引き上げ、政策金利の引き上げ
金融政策の狙い:物価の上昇(インフレ)を抑制。
※インフレやデフレの進行によって、物価の変動が経済に悪影響を及ぼす可能性が高まると、日銀は金融政策を発動させます。
【財政政策】
財政政策とは
政府が、歳入や歳出によって、経済に影響を及ぼす政策のことを財政政策といいます。日銀が行う金融政策と並んで、経済政策の柱といえます。
歳入と歳出
・歳入:税金や国債などの発行で得る収入のこと。
・歳出:公共事業費や社会保障費などの支出のこと。
財政政策の3つの機能
財政政策には主に3つの機能があります。公共サービスや公共施設へ投資する資源配分、税金を再分配する所得再分配、減税や公共事業による経済の安定化です。
以上が、経済・金融市場の基礎についてでした。経済の状況等を参考にしながら、投資を行いましょう。分散投資をするための指標にもなりますので、老後資産形成のためにはとても重要です。
では、まったり~!