こんにちは、だつりょくまんです。前回は、経済・金融市場の基礎について、書いてきました。
今回は、金融資産・顧客の保護と法律について、書いていきたいと思います。一緒に勉強を頑張りましょう!
【金融機関等の破綻と顧客保護】
日本では、銀行、証券会社、保険会社などの金融機関が破綻する万一の事態に備えて顧客の資産を守るセーフティネットがあります。
預金保険制度
預金保険制度とは、もし銀行などの金融機関が破綻したときに、預金者を保護する制度です。この制度の対象となるのは、日本国内に本店がある銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、ゆうちょ銀行などです。
※国内に本店がある金融機関でも海外支店は対象になりません。また、外国銀行の日本支店も対象外です。
・保護の対象
・保護の対象外
※仕組預金の利息は、通常の円建て定期預金(仕組預金の同一の期間および金額)の店頭表示金利までの部分が保護の対象となります。
預金保険制度で保護される金額の限度
・決済用預金
決済用預金は全額が保護の対象です。決済用預金とは、利息が付かない無利息、いつでも引き出しが可能な要求払い、引き落としが可能な決済サービスという3つの条件を満たしている預金です。
※決済用預金とは、当座預金やゆうちょ銀行の振替貯金のことです。
・決済用預金以外の預金
1つの金融機関ごとに、預金者1人あたり元本1,000万円と、その預金の利息が保護されます。決済用以外の預金とは、一般的な普通預金や定期預金、定期積金等のことです。
※定期積金は、積立式の金融商品で、信用金庫、信用組合、農業協同組合(JA)などで、取り扱っています。
・名寄せ
破綻した金融機関に1人の預金者が複数の口座を持っている場合、口座の残高を合計して、保護される預金の総額を計算します。これを名寄せといいます。夫婦や親子は、それぞれ別々の預金者として保護の対象となります。なお、金融機関が合併した場合には、その後1年間に限り、元本1,000万円まで×合併等に関わった金融機関数の金額とその利息が保護されます。
※個人で事業を営んでいる個人事業主の場合、個人と事業用の預金は、同じ預金者の預金として合算されます。
日本投資者保護基金
日本投資者保護基金とは、証券会社が破綻や財政困難になった場合に投資家を保護するセーフティネットです。
資産の分別管理
証券会社は、投資家から預かっている現金や証券などの金融資産を、自社の資産とは分けて管理することが義務付けられています。これを分別管理といいます。
法令違反の証券会社から投資家を保護する
通常、証券会社が破綻をしても、分別管理がされていれば、投資家は金融資産をそのまま返還してもらえます。しかし、分別管理義務を行っていた場合、現金、株式や債券といった資産が戻らない可能性が出てきます。その際、投資家の損失を補償するのが日本投資者保護基金です。
※すべての証券会社は、日本投資者保護基金への加入が義務付けられています。
補償額
証券会社の破綻などで損害を受けた一般顧客1人に対して、最大1,000万円まで補償します。
【金融商品の関連法規】
商品の売買において、取引を公正なものとし、投資家を保護する法律があります。金融商品に関連する主な法律と内容を見ていきましょう。
金融サービス提供法
金融商品の販売や勧誘においてトラブルにならないように投資家(個人・法人)を保護するための法律が金融サービス提供法です。正式名称は金融サービスの提供に関する法律です。
法律の内容
金融商品の販売業者等に対して金融商品の販売時に、顧客に対する重要事項の説明を義務付けています。加えて、断定的判断の提供を禁止しています。
損害賠償責任
販売業者等が重要事項の説明義務違反や断定的判断の提供により、顧客が損害を受けた場合は、販売業者等は損害賠償責任を負います。
※重要事項とは、例えば、販売する金融商品に元本割れのリスクがあるとか、解約期間などの制限条項があるといったことです。
消費者契約法
消費者契約法は、消費者を保護する法律です。消費者とは個人のことですので、企業などの法人は保護の対象ではありません。
※消費者契約法の個人には、個人事業主としての契約は含まれません。
法律の内容
販売する事業者の不適切な行為によって、重要事項について、消費者が誤認、困惑して契約した場合は、その契約を取り消すことができます。
また、事業者の損害賠償責任の一部を免除する条項のうち、損害賠償責任の免除が軽過失の場合のみを対象としていることを明らかにしていない条項は無効となります。
※金融サービス提供法と消費者契約法の両方が適用できる場合は、両方を適用することができます。
フィデュ―シャリー・デューティ
金融事業者は、顧客本位の業務運営を実現するための方針を策定・公表し、取り組み状況の公表や定期的な見直しが求められます。
原則の内容
プリンシプルベース・アプローチを採用し、原則を実施しない場合、その理由や代替策を十分説明すること、定期的に見直すことが求められます。
※プリンシプルベース・アプローチとは、原則は示すけれど、それをどのように実践するかは現場(この場合、各金融機関)に任せるという意味です。
金融商品取引法
金融商品の取り扱いや販売に関して取引業者が守るべきルール(行為規則)を定めて、投資家を保護するための法律です。
金融商品取引法の顧客区分
金融商品取引法では、投資の知識や経験によって、顧客(投資家)を分けて保護しています。その区分は、特定投資家(プロ)と一般投資家(アマチュア)の2つです。それぞれで、規制の内容が異なります。
※個人投資家は、基本的には一般投資家に区分されます。
適合性の原則
顧客である投資家の知識や経験、財産の状況、そして、契約を結ぶ目的に照らして、不適切と認められる勧誘をしてはならない、とされています。この原則が、適合性の原則です。
対象となる金融商品
株式や債券、投資信託のほかに、外貨預金や変額保険や年金といった投資の要素が強い金融商品についても、金融商品取引法と同等の販売規制が適用されます。
金融ADR制度
金融機関と利用者の間で発生したトラブルを、裁判によらずに解決を図る制度です。
金融ADR制度の概要
金融ADR機関制度では、トラブルを仲裁するのは、指定紛争解決機関です。
指定紛争解決機関
指定紛争解決機関として指定されているのは、全国銀行協会、生命保険協会、日本損害保険協会、保険オンブズマン、証券・金融商品あっせん相談センターなどです。
仲裁の内容
和解のあっせんや解決基準の提示などを行います。紛争解決委員は、指定紛争解決機関に所属する弁護士などの中立・公正な専門家です。
※金融ADR制度の利用は、一部を除いて無料です。
犯罪収益移転防止法
犯罪収益移転防止法は、犯罪で得た収益をマネー・ロンダリング(資金洗浄)やテロ行為等へ資金供与することを防止する目的で制定された法律です。この法律により、銀行などの金融機関には、顧客との取引の際に、顧客が本人であることの確認(取引時確認)のほか、その記録等を作成し、7年間保存することが義務付けられています。
確認項目
・個人及び個人事業主
氏名・住所・生年月日・取引目的・職業等
・法人
名称・本店または主たる事務所の所在地・設立年月日・取引目的・事業の内容・実質的支配者等
以上が、金融資産・顧客の保護と法律についてでした。銀行同様、株式等の投資についても一定金額まで保護される仕組みがあります。そのため、若いうちは、生活費を半年分普通貯金に残したうえで、残りは資産運用に努めましょう。
では、まったり~!