こんにちは、だつりょくまんです。前回は、制限行為能力者について、書いてきました。
今回は、意思表示について、書いていきたいと思います。
【意思表示とは】
意思表示とは、自分の意思を相手に対して表すことをいいます。契約は、原則として申込みと承諾の2つの意思表示が合致して成立します。
意思表示は、その通知が相手方に到達した時から効力が生じます。ただし、相手方が正当な理由なく、通知が到達することを妨げたときは、その通知は通常到達すべきであったときに到達したものとします。
なお、意思を表示した者が死亡した場合でも原則としてその効力は有効となります。
意思表示の効力発生時期等
原則
その通知が相手に到達した時から効力が生じる
例外
相手方が正当な理由なく、通知が到達することを妨げたときは、その通知は、通常到達すべきであったときに到達したものとみなす
表意者が通知を発した後に死亡等した場合
以下の場合でも、原則としてその効力は失われない。
①死亡する
②意思能力を喪失する
③行為能力の制限を受ける
しかし、だまされて契約してしまった場合(詐欺)や、脅されて契約してしまった場合(強迫)、ウソの意思表示で契約をした場合(虚偽表示、心裡留保)などもあります。
このような場合における契約の有効性についてみていきます。
【詐欺】
詐欺とは、相手をだまして、カン違いさせることをいいます。詐欺によってなされた意思表示は、原則として取り消すことができます。
原則
詐欺による意思表示は取り消すことができる
※この取消は、善意無過失の第三者んは対抗することができない。
例外
第三者の詐欺によってなされた意思表示は、相手方が善意無過失の場合には、取り消すことができない。
【強迫】
強迫とは、相手をおどすことをいいます。強迫によってなされた意思表示は、取り消すことができます。
※この取消は、善意の第三者にも対抗することができる
※第三者の強迫によってなされた意思表示は、相手方が善意の場合でも、悪意の場合でも、取り消すことができる。
【虚偽表示(通謀虚偽表示)】
虚偽表示(通謀虚偽表示)とは、相手方と示し合わせてウソの意思表示をすることをいいます。虚偽表示による意思表示は、当事者間では無効となります。ただし、その無効を善意の第三者に対抗することはできません。
当事者間:虚偽表示による意思表示は無効
※第三者には転得者(第三者からさらに土地等を譲り受けた人)も含まれる。
※取引の経路にいったん善意が現れたら、それ以降の人が悪意でも保護される。
【錯誤】
錯誤とは、勘違いで意思表示をすることをいいます。
取消しの対象となりうる錯誤
次の錯誤による意思表示をした場合、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なもの(要素の錯誤)であるときは、取り消すことができます。
①意思表示に対応する意思を欠く錯誤(表示の錯誤)
②表意者が法律行為の基礎とした事情についてその認識が真実に反する錯誤(動機の錯誤)
ただし、表意者に重大な過失がある場合には、原則として、取り消すことはできません。
原則
要素の錯誤に該当する一定の錯誤による意思表示は取り消すことができる
例外
表意者に重大な過失があった場合には、次に掲げる場合を除き、表意者は取り消すことができない。
①相手方が表意者に錯誤があることを知り、または重大な過失によって知らなかったとき
②相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき
※この取消しは、善意無過失の第三者には対抗することができない
動機の錯誤
取消しの対象となりうる錯誤には、動機の錯誤というものがあります。動機の錯誤とは、意思と表示は一致しているが、意思を形成する過程(動機)に錯誤があることをいいます。
例えば、今売れば課税されないと思って、甲土地を売ろうと思い、甲土地を売るといって、甲土地の売買契約を結んだが、勘違いで課税された場合。
この場合には、表意者は、錯誤による取消しをすることができません。動機の錯誤による取消しが認められるためには、少なくとも、動機となった事情が法律行為の基礎とされていることが表示されている必要があります。
【心裡留保】
心裡留保とは、表意者が本心ではないことを自分で知っていて意思表示をすること(冗談を言ったり、ウソをつくこと)をいいます。心裡留保による意思表示は、原則として有効となります。
原則
心裡留保による意思表示は有効
例外
以下の場合には、無効となる
①相手方が悪意であった場合
②相手側が善意有過失であった場合
※心裡留保による意思表示の無効は、善意の第三者には対抗できない。
以上が、意思表示についてでした。意思の表示の仕方によって、取消しが可能かどうか、第三者に対する効力までも決まってきます。しっかりと理解をすればわかる項目と思いますが、言葉に慣れるまでが大変そうです。
では、まったり~!