こんにちは、だつりょくまんです。前回は、総所得金額の算出:損益通算と繰越控除について、書いてきました。
今回は、所得控除について、書いていきたいと思います。一緒に勉強を頑張っていきましょう!
【基礎控除】
所得控除は、所得税の課税にあたって所得の合計金額からあらかじめ一定金額を差し引く制度です。基礎控除は、合計所得金額によって控除額が変わります。
合計所得金額:2,400万円以下 = 控除額 48万円
合計所得金額:2,400万円超2,450万円以下 = 控除額 32万円
合計所得金額:2,450万円超2,500万円以下 = 控除額 16万円
合計所得金額:2,500万円超 = 控除額 0円(適用外)
【扶養控除】
扶養控除は、納税者に控除対象扶養親族(その年12月31日現在の年齢が16歳以上の配偶者以外の扶養親族)がいる場合に適用される所得控除です。
一般の扶養控除:要件あり 控除額38万円
※控除対象扶養親族:扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が16歳以上の人。
扶養控除の要件と金額
要件:納税者本人と生計を一にしている配偶者以外の親族。青色申告者、または白色申告者の事業専従者でないこと。合計所得金額48万円以下、収入が給与のみの場合は年収103万円以下。(年収103万円から給与所得控除55万円を差し引くと48万円)
一般の扶養親族(一般の扶養控除):16歳以上 = 控除額38万円
特定扶養親族(特定扶養控除):19歳以上23歳未満 = 控除額63万円
老人扶養親族:70歳以上 = (同居老親等以外の者)48万円、(同居老親等)58万円
※適用年齢はその年の12月31日時点の年齢。16歳未満の親族は控除なし。
※同居老親等:納税者又はその配偶者と同居する直系尊属(父母・祖父母等)。
【配偶者控除】
配偶者控除は、合計所得金額1,000万円以下(年収1,195万円以下)の納税者に、その年の12月31日現在で控除対象配偶者がいる場合に適用される所得控除です。
配偶者控除の要件と金額
要件:納税者本人と生計を一にしている配偶者。青色申告者または白色申告者の事業専従者でないこと。配偶者の合計所得金額48万円以下、収入が給与のみの場合は年収103万円以下。
納税者の合計所得金額:900万円以下 = 控除対象配偶者38万円、老人控除対象配偶者48万円
納税者の合計所得金額:900万円超950万円以下 = 控除対象配偶者26万円、老人控除対象配偶者32万円
納税者の合計所得金額:950万円超1,000万円以下 = 控除対象配偶者13万円、老人控除対象配偶者16万円
納税者の配偶者の合計所得金額が48万円超~133万円以下(年収103万円超~201.6万円未満)の場合には、配偶者特別控除(控除額最高38万円)が適用されます。
※配偶者控除と同じく、納税者の合計所得金額が1,000万円以下の場合に適用。
【医療費控除】
医療費控除は、納税者が、納税者本人または生計を一にする配偶者、親族の医療費を支払った際に適用されます。
医療費控除額=医療費ー保険金などで補てんされる金額ー【10万円】
※【10万円】について、総所得金額が200万円未満の場合は10万円ではなく、【総所得金額×5%】
医療費控除の上限額は毎年200万円です。控除を受けるには、確定申告の際に医療費控除の明細書を添付する必要があります。(e-Taxで確定申告する場合、必要書類の添付は省略可)
医療費控除の控除対象
対象となるもの
・医師、歯科医師の診療費、治療費(健康保険適用外の治療を含む)
・通院費(公共交通機関の交通費)
・医薬品の購入費(薬局で購入する市販薬も含まれる)
・人間ドックの費用(重大な疾病が見つかり、治療を行った場合)
・出産費用
対象とならないもの
・通院で使用した自家用車のガソリン代、タクシー代(緊急時を除く)
・人間ドックの費用(以上がない場合)
・入院の際の身の回り品の購入費
・美容・健康増進を目的とする諸費用。美容整形、ビタミン剤、健康食品等
・コンタクトレンズや眼鏡(近視・遠視・老眼用)の購入費
医療費控除の特例(特定一般医薬品等を支払った場合の医療費控除の特例)
セルフメディケーション税制ともいいます。2017年1月1日から
2026年12月31日までの間に購入したスイッチOTC医薬品の金額が12,000円を超える場合、その超える部分の金額(上限88,000円)が所得控除の対象となる特例です。この特例と従来の医療費控除のどちらかを選ぶ選択制で、併用することはできません。
※スイッチOTC医薬品:要指導医薬品および一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品。市販の風邪薬、胃腸薬、リップクリームなど、約1,500品目が所得控除の対象となる。
【社会保険料控除】
社会保険料控除は、納税者が、納税者本人または生計を一にする配偶者その他親族の負担すべき社会保険料(国民年金保険料、国民健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、介護保険料、国民年金基金の掛金)を支払った場合に、その全額が所得金額から控除されるものです。
【生命保険料控除】
生命保険料控除は、支払った生命保険料に適用されます。一般の生命保険料、個人年金保険料、介護医療保険料があります。給与所得者の場合は、年末調整の際に勤務先へ生命保険料控除証明書の提出が必要です。
所得税:所得税控除合計限度額は12万円(一般、個人年金、介護医療保険が各4万円)
住民税:住民税控除合計限度額は7万円(一般、個人年金、介護医療保険が各2.8万円)
【地震保険料控除】
地震保険料控除は、居住用家屋や生活用動産の地震保険料を払った場合に適用されます。控除額は所得税と住民税で異なります。給与所得者の場合は、年末調整の際に勤務先へ地震保険料控除証明書の提出が必要です。
住民税:地震保険料の2分の1。住民税控除限度額は2万5,000円
【小規模企業共済等掛金控除】
小規模企業共済等掛金控除は、小規模企業共済の掛金や確定拠出年金の掛金を支払った場合に、その全額が控除されるものです。
【所得金額調整控除】
所得金額調整控除は、子育て・介護世帯の税負担を軽減することを目的とする制度で、一定の給与所得者の総所得金額を計算する場合に、一定の金額を給与所得の金額から控除するというものです。所得金額調整控除の適用対象者には、子ども・特別障害者等を有する場合と、給与所得と年金所得の双方を有する場合の2種類があります。
所得金額調整控除の要件
子ども・特別障害者である扶養親族などがいる場合
その年の給与等の収入金額が850万円を超える居住者で次の①~③のいずれかに該当する給与所得者
①本人が特別障害者に該当する者
②年齢23歳未満の扶養親族を有する者
③特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族を有する者
控除額=(給与等の収入金額ー850万円)×10%
※給与等の収入金額が1,000万円超の場合は1,000万円
給与所得と公的年金等の双方を受給している場合
その年の給与所得の金額および公的年金等にかかる雑所得の金額がある居住者で、給与所得の金額及び公的年金等にかかる雑所得の金額の合計額が10蔓延を超える者
控除額=給与所得控除後の給与等の金額+公的年金等に係る雑所得の金額ー10万円
※給与所得控除後の給与等の金額・公的年金等に係る雑所得の金額が10万円超の場合は10万円
〈ポイント〉
・扶養控除とは異なり、同一生計内のいずれか一方の所得者に適用するという制度がないため、夫婦双方で適用を受けることができる。
・子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除の適用を受けるには、年末調整において「所得金額調整控除申告書」を提出する。
【その他の所得控除】
所得控除は、人的控除(納税者、または扶養家族、親族の事情を考慮した控除)と物的控除(一定の支出や、資産が損害を受けた場合の控除)に分けられます。いずれも所得控除後の金額が課税金額になります。
人的控除
適用要件:納税者の所得金額2,500万円以下
控除額(限度額):最高48万円
扶養控除
適用条件:生計を一にする親族で、親族の所得金額48万円以下
控除額(限度額):一般38万円、特定63万円、老人48万円・58万円(同居老親等)
適用条件:納税者の所得金額1,000万円以下で配偶者の所得金額48万円以下
控除額(限度額):最高38万円
適用条件:納税者の所得金額1,000万円以下で配偶者の所得金額48万円超~133万円以下
控除額(限度額):最高38万円
寡婦控除
適用条件:納税者本人がひとり親以外の寡婦
控除額(限度額):27万円
ひとり親控除
適用条件:生計を一にする子を有する単身者
控除額(限度額):35万円
※ひとり親の性別・婚姻歴にかかわらず適用(合計所得金額が500万円以下などの要件あり)。
勤労学生控除
適用条件:納税者本人が勤労学生
控除額(限度額):27万円
障害者控除
適用条件:本人(配偶者・扶養親族)が障害者
控除額(限度額):27万円
物的控除
医療費控除
適用条件:医療費が一定額を超えている
控除額(限度額):医療費ー保険金等での補てん金額ー10万円
社会保険料控除
適用条件:社会保険料の支払いがある
控除額(限度額):支出額全額
生命保険料控除
適用条件:生命保険料等の支払いがある
控除額(限度額):最高12万円
地震保険料控除
適用条件:地震保険料の支払いがある
控除額(限度額):最高5万円
小規模企業共済等掛金控除
適用条件:小規模企業共済の掛金、確定拠出年金の掛金の支払いがある
控除額(限度額):支出額全額
雑損控除
適用条件:災難、盗難、横領により損害を受けた場合(詐欺や恐喝の被害は対象外)
控除額(限度額):①②のうち多い方の額⇒①損失額ー課税標準×10%②災害関連支出額ー5万円
寄附金控除
適用条件:国・地方公共団体、一定の団体に寄附をした場合。都道府県・市区町村に対する寄附金を「ふるさと納税」という。
控除額(限度額):①②のうち低い方の金額ー2,000円⇒①支出した特定寄附金の合計額②総所得金額等の40%相当額
※確定申告不要な給与所得者が、年間5自治体以内にふるさと納税をして「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を申請した場合は寄附金控除に係る確定申告は不要。
※医療費控除・雑損控除・寄附金控除は、年末調整されないため、給与所得者であっても確定申告が必要。
以上が、所得控除についてでした。所得控除にはたくさんの種類があります。年末調整等で手続きをすれば受けられる控除もあります。また、ふるさと納税は確定申告をしなくても良いワンストップ特例申請がありますので、しっかりと利用して控除を最大限活用しましょう!
では、まったり~!